絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★330「雨、あめ」~大人になると忘れてしまう、雨の日の楽しさと美しさと不安と家の温かさを描く。

雨、あめ (児童図書館・絵本の部屋)

「雨」特集。
字のない絵本。想像力をかきたてられます。
子どもの頃は雨をこんな風に全力で楽しめたなあ…と思い出しました。
そして嵐の夜の興奮とドキドキ、家の温かさ。
色々な懐かしさで胸がいっぱいになりました。

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「雨、あめ」表紙


「大人になると忘れてしまう、雨の日の楽しさと美しさと不安と家の温かさを描く。」

雨の日がこんなに美しく楽しいものだったなんて。大人になってから雨は鬱陶しいばかりでこの感覚を忘れていました。
雨の日をとびきり美しく描く、字の無い絵本です。

雨が降ってきて、兄弟はレインコートを着て、長くつをはいて、傘をさして、外に出かけます。冒険の始まり。
電線から落ちる雫。雨どいから流れる雨水。地面一面に広がる波紋。蜘蛛の巣の水滴。下を向く花。元気な水鳥たち。
ああ美しい。
この美しさに目を向けることから遠ざかっていたことに気づかされました。

そして次の場面では、嵐の日に家の中で過ごすぬくもりと、わくわくと、ドキドキ。
日本だと台風の日って子どもにとってドキドキとワクワクですよね。
真っ暗で風が強い外を眺めながら、不安と楽しさが同居した不思議な浮遊感のある気持になったことを思い出しました。
そして家の中はいつも通り、家族がいて、温かい時間が流れる。
その対比の表現が素晴らしいです。

最後は、嵐が過ぎ去った後の、一番輝いた美しい景色! 最高ですね。
日本も台風一過の朝は空が真っ青でなんともいえない気持ちになります。

ずっと持っておいて、大切にしたい一冊だと感じました。


2.情報

著者:ピーター・スピアー
出版年月日:1984/6/1
出版社:評論社
ページ数:38ページ
おすすめ対象年齢:3歳から