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目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★327「あめがふるときちょうちょうはどこへ」~科学的な知的好奇心と、文学的な美しさを兼ね備えた素晴らしい一冊。

あめがふるときちょうちょうはどこへ (世界の絵本ライブラリー)

「雨」特集と「生き物」特集の複合。
これは素晴らしい作品。ミステリアスで知的。大人も楽しめます。

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「あめがふるときちょうちょうはどこへ」表紙


「科学的な知的好奇心と、文学的な美しさを兼ね備えた素晴らしい一冊。」

とても不思議な気持ちになる絵本です。ミステリアスで知的。そして優しい。
雨の時、もぐらは土に潜ります。
ミツバチは巣に帰ります。
ヒルは羽に油があるので平気です。

小鳥は羽に頭を入れるというけれど、それでも濡れてしまうでしょう。
かわいそうな小鳥さん。
そう思う作者の気持ちがとても優しいです。

でもそんな小鳥は雨の日でも探せそうだけど、ちょうちょは絶対見つからなさそう!
どこにいるのかまったく見当もつかない。
言われてみれば本当です。蝶々という美しい存在だからこそ、なおさらミステリアスで不思議な気持ちが増幅します。
これは考えたことがありませんでした。蝶々たちはほんとにどうするんでしょうね!?

シンプルな絵が、静かな雨を連想させ、また一層ミステリアスを演出します。
科学的な知的好奇心のくすぐりと、文学的な美しさを兼ね備えた素晴らしい一冊。


2.情報

著者:メイ・ゲアリック (著), レナード・ワイスガード (イラスト), 岡部 うた子 (翻訳)
出版年月日:1974/8
出版社:金の星社
ページ数:32ページ
おすすめ対象年齢:3~4歳から