絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

■167「おこだでませんように」~小学校一年生になるまでに、この子の周りの大人たちは何をしていたのか。そこに疑問と怒りがわく。

おこだでませんように

はい、二つめの■マークです。世の中的にはものすごく評価が高く名作扱いなのに、私が超個人的に納得できないやつ。
子どもには読ませられない。大人だけ読めばいい。

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「おこだでませんように」表紙


「小学校一年生になるまでに、この子の周りの大人たちは何をしていたのか。そこに疑問と怒りがわく。」

「ちょっとだけ」も泣けると世間の評価がものすごく高かったが、酷評してしまった。
こちらの作品も泣ける絵本としてベストセラーだけど、全然泣けなかった。
むしろ冷静に色々突っ込んでしまった。

まず「理不尽でかわいそうな、子どもに過失がない怒られ方」と「全面的にこの子が悪い怒られ方」がごっちゃになっている。
全部が理不尽な怒られ方なら、大人たちはよく考えようねと反省すべきだが、
サッカーのルールも知らず友達に乱暴だからという理由で仲間に入れてもらえないことに対して、キレてキックとパンチ。
冷静に考える能力もないし、キレてその友達に暴力をふるうというやり方。
最初に断った友達は何も悪くないでしょう。
そんなセリフを言われて僕の心がパンチをもらったからやり返した、なんて言い訳にもならない。
これは怒られて当然。

そして小学校に上がるにあたって、必要な社会的ルールを教えていないこの親は何をしているんだ問題。
友達の嫌がることはしない、食べ物は粗末にしない、暴力は振るわない、公の場では静かに。
社会で生きていくための最低限のルールを教えていない。放任か。保育園・幼稚園生でも教えればきちんとできる。
暴力で解決しようとする一年生を放置するとは何事か。
まずはそこをきちんと躾て、叱るべきことはきちんと叱って、それがこの子のためだと思う。

「怒られませんように」とお祈りしている場合ではない。でも気持ちを大人に発信できて良かったのか。
それを知った大人は怒ることをやめるというのは間違っている。必要な怒りもある。
この子が「しない」のではなく「教えてもどうしてもできない」という状況なら専門家へゴー。
泣けるという感情はどこにもわかない。冷静に、この子がこんなに追い詰められるまで、周りの大人が今までなにやってたんだという苛立ちが湧いてくる。

これを読むなら「またおこられてん」の方をおすすめする。こちらは「理不尽な怒られ方」に徹している。
そしてお母さんも子どもも悪くない。お互いのことを思って、ぶつかってしまった結果という感じ。
これは素直に泣いた。
bookand.hateblo.jp



2.情報

著者:くすのき しげのり (著), 石井 聖岳 (イラスト)
出版年月日:2008/6/27
出版社:小学館
ページ数:32ページ
おすすめ対象年齢:4~5歳から