絵本と愛と子どもらと

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55「ひなまつりにおひなさまをかざるわけ」~流し雛の由来を知ると、子どもの成長が今までよりずっと喜ばしく思える

ひなまつりにおひなさまをかざるわけ (行事の由来えほん)

流し雛の由来を詳しく知ることもできたし、
現代の医療の発達に感謝の気持ちがわいてわいて仕方がなくなる本。
昔は子どもは簡単に死んでしまうものだったんだなあ。
親としてそんなのしんどすぎる。
一人として死んでほしくない。
ありがとう、現代の医療。ありがとう、科学に医学!!


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「ひなまつりにおひなさまをかざるわけ」表紙


「流し雛の由来を知ると、子どもの成長が今までよりずっと喜ばしく思える」

雛祭りのお雛様を飾るようになった由来を、わかりやすい物語(設定はたぶんフィクションだろう)で説明している絵本。
途中までかなり暗いお話。
一郎次、二郎次、三郎次と幼い妹が登場。
父親も母親も亡くなってしまっている。ああここから既に辛い。

一郎次、二郎次は妹のおはなの世話が大嫌い。ああ、切ない! 冷たい! それ育児放棄だかんね。
三郎次だけがおはなを大切に育てました。
そしておはなは体が弱いながら優しい女の子に成長。この辺の、おはなと三郎次の心の触れ合い、人形とのエピソードが心温まります。

しかし今度はおはなが川で溺れ高熱が下がらない。またもや辛い。懸命に看病する三郎次。
その枕元に現れたのは…!?
リアルな描写の絵柄の中にその存在が描かれると、非常にシュールで「こ、これは…」と思ってしまった笑
でもその存在は本当にグッジョブでした!! おはなちゃん、治って本当に良かった!!

流し雛の由来を詳しく勉強できたのも良かったし、
あとは現代の医療は本当にありがたいなあとしみじみ思いました。
抗生物質も予防接種も先進的な医療も救急医療もなかった昔は、10人産んで1人しか育たなかった人もいた、という話を聞いたことがあります。明治大正くらいでも。
母親になってわかる。子どもを失うということは自分が死ぬことより辛いこと。
それが何人も死ぬなんて想像を絶する苦しさです。
それは神にもすがるしか方法がありません。流し雛はそんな親心・愛情が形になったものなんだなあとしみじみ思います。
その由来を知ると、雛祭りもまた一味違った行事に見えますね。


2.情報

著者:瀬尾 七重 (著), 岡本 順 (イラスト)
出版年月日:2001/1/1
出版社: 教育画劇
ページ数:34ページ
おすすめ対象年齢:4歳から