絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★★428「さかなはさかな―かえるのまねしたさかなのはなし」~幸せとは? 多様性とは? 自由・不自由とは? …様々な問題提起を自分や子どもに起こさせる

さかなはさかな―かえるのまねしたさかなのはなし

等身大の幸せを大切にね。そんなことを教えてくれます。
それ以外にも、多様なこととは、自由とは…様々な哲学を投げかけてきます。

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「さかなはさかな―かえるのまねしたさかなのはなし」表紙


「幸せとは? 多様性とは? 自由・不自由とは? …様々な問題提起を自分や子どもに起こさせる」

大人や自分自身への「幸せってなに?」という問いかけや、子どもへの「多様性ってなに? 自由とは・不自由とは?」という問題提起の教科書として使えそうです。
ついつい人と比べて幸せを見失いがち…SNSで人の投稿を見ては自分と比べてしまう…そんな方は家に置いておきたい一冊です。

友達だと思っていたおたまじゃくしは、ある日カエルになり陸へ上がっていってしまいました。
その過程での魚の怒った目つきに、嫉妬・裏切りへの憎しみ・悲しみが見えて、既視感が…。
帰ってきたカエルから聞く、陸の生き物たち。
でも魚は魚の世界しか知りません。知っている範囲のものを組み立ててしか想像できません。
魚の想像する鳥も、牛も、人間も、色は鮮やかではあるけれど結局は魚の姿から離れられない。
その姿が皮肉たっぷりというか、でも知識や想像力とはそんなものなんだよと改めてつきつけてきます。

そして池から飛び出て瀕死になる魚。
ここでようやく気付きます。自分は魚でしかないと、魚としてしか生きられないと。

最近は「多様性が」と叫ばれていますが、でも所詮人間も自分の体験したこと・実際見たことしか正しく想像できないのです。わからないものはわからない。
でもだからといって諦めるのも違いますが。
わからないものはわからないと言っても、私はいいと思います。だってわからないんですもん。否定ではない。

そして幸せは背伸びするものじゃない。手に届く範囲・リアルに目に見える範囲の幸せを大事にすればいい。
ネットの向こうの手の届かないところの幸せを手に入れようとしなくてもいい。それは自分を苦しめる。
目の前の自分自身、家族、リアルな友人。そこをまず大切にしようと思う。


2.情報

著者:レオ・レオニ (著), 谷川 俊太郎 (翻訳)
出版年月日:1975/4/1
出版社: 好学社
ページ数:30ページ
おすすめ対象年齢:4~5歳から