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98「ブタヤマさんたらブタヤマさん」~現実か、夢か、幻か… キャベツくんシリーズで一番哲学的

ブタヤマさんたらブタヤマさん (えほんのもり 9)

キャベツくんシリーズの中で唯一登場人物がブタヤマさんだけ。
シュール。
色々考えてしまうが、考えることがナンセンスなのか。感じればいいのか。
ブタヤマさんがアレなのか、我々がアレなのか。
どうすればいいのか!!
教えて長さん!!

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「ブタヤマさんたらブタヤマさん」表紙


「現実か、夢か、幻か… キャベツくんシリーズで一番哲学的」

キャベツくんが出てきません。ブタヤマさんだけの世界です。
ブタヤマさんは蝶を取るのに夢中で後ろから何が来ても気づきません。
お化け、巨大な鳥、巨大な蝉、巨大なねずみ、巨大なバッタ。

「ブタヤマさんたらブタヤマさん、うしろをみてよブタヤマさん」
これは誰の声なのでしょうか。作者? 私たち? 天の声?

「なあに どうしたの なにかご用?」とブタヤマさんがこっちを向くと、後ろには誰もいません。

そしてオチもなく風がそよそよと吹いているだけ。
やっぱりこの人は凡人と違う世界が見えている。素晴らしいな。
キャベツくんシリーズで一番深い気がします。ふとした時に背後の化け物たちの存在の意味と、ブタヤマさんとの関係を考えてしまう。
本当に意味は「無」なのかもしれないけれど、でも考えてしまう。


2.情報

著者:長 新太
出版年月日:2005/2/1
出版社:文研出版
ページ数:28ページ
おすすめ対象年齢:3歳から