絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★269「かえるのじいさまとあめんぼおはな」~昔話のような味わい深いテイストで、命の重みを語る。命を思う涙は美しい。

かえるのじいさまとあめんぼおはな

生き物特集。
淡々と、小さな命をめぐる物語が進んでいきます。
静かで重厚で美しい作品。

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「かえるのじいさまとあめんぼおはな」表紙


「昔話のような味わい深いテイストで、命の重みを語る。命を思う涙は美しい。」

命について深く考えさせられました。
昔話のような、なんとも味わい深い、渋い作品。キラキラした華やかさは一切ありません。
静かに淡々と、命をめぐる物語は進んでいきます。

かえるのじいさまが昼間に食べたアメンボは、食べるつもりもなかったもので、見たら勝手に舌が動いて食べてしまった。ただ苦いだけだった。

そんなじいさまにとって、軽い、ただただ苦いだけの小さな儚い命は、
食べたアメンボ夫婦の娘、おはなには何よりも重いものだった…。
会いたい、お父さんとお母さんに。だからお腹の中を見せて、と涙を流すおはな。

おはなの流した涙でできた水のわっかと、雨が作る水のわっかは良く似ている。
それは花のようであり、星屑の光のようだと思った。
美しい美しい命のお話。


2.情報

著者:深山 さくら (著), 松成 真理子 (イラスト)
出版年月日:2008/6/1
出版社:教育画劇
ページ数:34ページ
おすすめ対象年齢:4~5歳から