でんでんむしのかなしみ
生き物特集。
新美南吉さんの言葉の美しさに、絵の透明感。最高です。
傑作に入れておきます。
「一回読んでぽろぽろ泣きました。みな悲しみを抱えて生きているという美しさ。」
何の前情報もなく、「ごんぎつね」で有名な新美南吉さんの作品として読んで、ぽろぽろと涙があふれてきました。
でんでんむしの殻の中には悲しみがいっぱい詰まっていたとは。
雨に濡れるでんでんむしを見るたびに思い出して泣きそうです。
誰もが悲しみを背負って、でもそれを大声で言うこともなく静かに生きている。
そんなことに気づけたなら、悲しみを背負った人々が生きるこの世界で優しく強く生きていけそうな気がします。
そしてかみやしんさんの美しい絵が、また涙や雨や光がにじむような様を描き、震えます。
素晴らしい絵本。
絵本ですが、子どもよりもむしろ大人に読んでほしいです。
後で知ったのですが、美智子皇后様がこの絵本を幼いころに読んでもらい、皇后になられて辛い時代に何度も思い出していたお話とのこと。
皇后さまのお心を支えていた本なのですね。非常に納得です。一回読んだだけで衝撃が走りましたもん。
その「でんでんむしのかなしみ」のほかに「一年詩集の序」「里の春、山の春」「木の祭り」「でんでんむし」が収録されています。
2.情報
著者:新美 南吉 (著), かみや しん (イラスト)
出版年月日:1999/7/1
出版社: 大日本図書
ページ数:30ページ
おすすめ対象年齢:5~6歳から