ぬすまれた月 (レインボーえほん (3))
「月・お月見」特集。
和田誠さんの傑作。月の科学と戦争について同時に考える。
「月の科学的アプローチでの図解と、世界平和・戦争をテーマにした物語が同時並行する。」
1963年に岩崎書店から出版された絵本で、長いこと絶版になっていたそうですが、1998年にプラネタリウム番組の企画で取り上げられ、全国数か所のプラネタリウムで上映されたとのこと。
この絵本の絵はプラネタリウムのために描いたものを土台にしたそうです。黒バックはそのためだとか。
・月の模様が何に見えるか
・世界の「月」という言葉
・太陽系について、月と地球の関係について
・月に満ち欠けや日食・月食のしくみ
・月の引力
・月がどうやってできたのか
といった科学的な図解を間にはさみながら、「ぬすまれた月」の話が淡々と進みます。
月を盗んで、形を変える月を見るのが楽しみな男。
それを盗んだ泥棒。でも新月だから空っぽに見えて捨ててしまった。
つぎに拾ったのは女性。月を竪琴にしたら大評判だったのに、海外に行く途中に半月になってだめになった竪琴を見て、海に月を捨てる。
次にその月を拾った(月を飲んだ魚を釣った)のは、2つの国だった…。
この国は、当時冷戦下にあったアメリカと旧ソ連を現わしているそうです。
でもこの寓話が色あせず、むしろ「世界はこんなことばかりしてるな」と思ってしまう現代も、平和まではまだまだ遠そうです。
2.情報
著者:和田 誠
出版年月日:2006/10/1
出版社:岩崎書店
ページ数:40ページ
おすすめ対象年齢:5~6歳から