絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★403「いじわるなないしょオバケ」~つけばつくほど息苦しくなる「保身のための嘘」。大人の方がぐさっときそうな本。

いじわるなないしょオバケ

おばけ特集。
過去に読書感想文の課題図書になったようです。
子どもより大人の方が心に刺さると思います。

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「いじわるなないしょオバケ」表紙


「つけばつくほど息苦しくなる「保身のための嘘」。大人の方がぐさっときそうな本。」

いわゆる「おばけ」の話ではありません。
少女の、悪いことをしてしまったという自覚のある秘密、その秘密を守るために嘘をつく言葉を発すると、おばけが出てきてしまう。おばけは少女自身の、心の葛藤。
自分で闘い、自分で克服しなければいけない「自分を保身するための嘘」。

大人でもこんなの日々発生します。
自分自身に言い訳するために強がる嘘、自分の立場を悪くしないためにつく嘘。あるあるすぎてこの本を読むと、ダイレクトに心が痛みます。
読み聞かせをしながら子どもに「だから嘘はついちゃだめよ。辛くなるからね」なんて言いながら、私本人だってやってしまうんですよ。まったく人のことを言えない。

これは読書感想文の課題図書になりそうな本だな、と思いながら読んでいたら、やっぱりなっていたんですね。
考えることは同じでした。
でも小学校低学年の課題図書に多い、この手の「心を何かに比喩する」表現、子どもにはわかりづらいですよね。こんなの性格に読解できるのは中高生じゃないだろうかと思ってしまいます。なんでストレートな本にしないんでしょう。。。どちらかというと大人向けだと感じます。


2.情報

著者:ティエリー ロブレヒト (著), フィリップ ホーセンス (イラスト), 野坂 悦子 (翻訳)
出版年月日:2009/6/1
出版社:文溪堂
ページ数:25ページ
おすすめ対象年齢:5~6歳から むしろ大人向け