つのはなんにもならないか (おにのこあかたろうのほん 3)
「きのこほいくえん」もこれも、「一見マイナスに見える個性を持っていても、それが役に立つこともある」という本なのですが、
読み手に与える印象は正反対という…。
何が違うんだろう。ちゃんと子どもの目線で描いているかどうか、かな。
「鬼の子たちが「鬼でよかった、角があってよかった」と自分の存在を肯定する瞬間に立ち会える一冊」
長く読まれている作品。自分自身の嫌いなところ、弱点に見えるところも、使いようによってはとっても役に立ち自分を守ってくれる存在になるという、大人にも響くものがある作品。
「きのこほいくえん」も似たようなことを表現したかったんだろうけど、表現されたもの、感じる結果はまるで違う。こちらが自然な子どもの姿。
あかたろうくん、あおおくん、みどりちゃん、きよちゃんは鬼の子。
縄跳びやボール遊びが大好きなのに、角がじゃまをしてうまくいかない。引っかかったり、パンクしたり。
角の存在を嫌だ、どうしてあるんだろうと、子どもなりに考えます。でも答えは出ない。
そこでジャングルに冒険に行ったら、ライオンやゾウやヘビに食べられてしまいました!
でも角がお腹の中で痛いから、動物たちは「まずい」と吐き出し、命拾いをします。
ここでようやく子どもたちは気づきます。角があって本当によかった。鬼の子だもん、角を大事にしなきゃと。
自分を肯定し、認めることができた瞬間です。
個性や多様性についても考えることのできる作品。
2.情報
著者:北山 葉子
出版年月日:1977/3
出版社:偕成社
ページ数:48ページ
おすすめ対象年齢:4歳から