絵本と愛と子どもらと

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★★617「こぎつねコンとこだぬきポン」~個の愛は、先祖からの民族間の争いを解決するのか。現代社会にも通じる温かい名作。

こぎつねコンとこだぬきポン (童心社の絵本)

秋特集。
個と個の間の愛は、周りの争いをも解決できるのか?という深い作品。
子どもの頃に読んだ記憶が蘇りました。

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「こぎつねコンとこだぬきポン」表紙


「個の愛は、先祖からの民族間の争いを解決するのか。現代社会にも通じる温かい名作。」

小学生の頃に読んだ記憶があり再び手に取りましたが、その時の印象と変わらず、いやそれ以上に心を動かされました。感動作。
文字が小さく量も多いので、自分で読むなら小学校低学年からでしょうか。

人間界の人種差別とか、民族間の問題、いじめなどにも通じる深いものがあります。
そして友達がいることの純粋な喜び、幸せ。友達は良いものですよ…しみじみ。

友達のいないコンとポンがある日出会ってしまいます。運命的な出会いに胸がはずみます。
でもコンの両親はタヌキに対して、ポンの両親はキツネに対して先代からの深い恨みを持っていました。
おじいちゃんおばあちゃんが相手の動物に殺されたんだぞ、なんて親から言われたら子どもは何も言えないですよね…。親の恨みもわかります。でも友達個人は関係ないじゃないかという気持ちもわかります。
板挟み辛い。生きているとありますよこういうこと。
日本人だって、他の国だって、あるでしょうこういうこと。
あの民族は我が国にこんな酷いことをした。だからその祖先たちも酷い人間に違いない。嫌いだ、ってこと。

でもコンとポンが化けっこして、お互いの姿に変わり、お互いの家族を助けることで状況は一気に変化します。
コンとポンは自らの道を切り開いたのです。
そして真の友達になれた2つの家族。憎しみは消え愛になりました。
ああ、温かい。素晴らしい。
長く読み継がれたい一冊です。


2.情報

著者:松野 正子 (著), 二俣 英五郎 (イラスト)
出版年月日:1977/9/1
出版社:童心社
ページ数:48ページ
おすすめ対象年齢:6~7歳から