絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★★580「木を植えた男」~継続は力なり、千里の道も一歩より、ということを実感を持って教えてくれる。神業ともいえる偉業の物語。

木を植えた男

黙々と種を植えていくという地道な継続・努力に圧倒されます。
考える暇もなくひたすらに手を動かす。その先の実りに大切なものを教わります。

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「木を植えた男」表紙


「継続は力なり、千里の道も一歩より、ということを実感を持って教えてくれる。神業ともいえる偉業の物語。」

1987アカデミー賞短編映画賞受賞した同名の短編映画を、絵本として新たに描き起こしたもの。
映画の良さがそのまま伝わるかというとそれは難しいのですが、でもこの壮大なストーリーを知る程度でも十分素晴らしい体験になると思います。

フランスの山岳地帯にただ一人とどまり、荒れはてた地を緑の森によみがえらせたエルゼアール・ブフィエの半生を描きます。
1913年から、ブフィエ氏が亡くなる1947年までのお話。

戦争、流行りの病などで苦しむ世の中。
過去に息子と妻を失い、孤独な世界に引きこもり、「世の中のためになることがしたい」と不毛の地に種を植え始めたブフィエ氏。
何キロにもわたり、何万個もの種を植えていく。
なんという気の遠くなる仕事であろうか。悟りの境地にいるとしか思えない。
人間の能力を超えた、神業ともいえる努力と信念と我慢。

これによってできた森のおかげで、山などの自然と人々は生気を取り戻した。
一人の男性の捨て身の努力の継続が、命や地球を救ったのだ。

最初からここまでの偉人になれとは言わない。でも継続は力なり、千里の道も一歩より、ということを実感を持って教えてくれる。子どもの道徳にも素晴らしい本だと思うし、大人が読んでも感動する。

文字数も漢字も多いので、小学校中高年~大人向けの絵本でしょう。


2.情報

著者:ジャン ジオノ (著), フレデリック バック (イラスト), 寺岡 襄 (翻訳)
出版年月日:1989/12/1
出版社:あすなろ書房
ページ数:48ページ
おすすめ対象年齢:10歳から大人