絵本と愛と子どもらと

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★505「じいちゃんのよる」~人間も、虫も、闇も、田舎ではみんな生きている。生命力と温かさを感じる有機的な絵本。

じいちゃんのよる (こどものとも絵本)

敬老の日」おじちゃん・おばあちゃん・祖父母特集。
田舎の夜は人を食べる。都会に住む子には魅力に感じるであろう田舎とじいちゃんの話。

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「じいちゃんのよる」表紙


「人間も、虫も、闇も、田舎ではみんな生きている。生命力と温かさを感じる有機的な絵本。」

じいちゃんの存在と、じいちゃんの家・住む土地がたまらなく温かくて、有機的で、
このじいちゃんを見ていると「生きている」という実感がわいてきます。
作者のきむらよしおさんのプロフィールから、おじいちゃんは滋賀県の方なのかな…。(わかりません)
ちょっと西っぽい優しい言葉の響き。

夏休みに田舎のじいちゃんの家に行った主人公。
イカ畑、茅葺屋根の家でスイカを食べる、怪獣ごっこ、昭和の家電、川で魚とり、おじさんたちとの宴会でカルピスを飲むじいちゃん、花火、蚊、森の騒がしい虫たち。
全てが生き生きしている。もにょもにょ動いて生きている。人間も虫も汗をかきながら夏を生きている。

そしてこの絵本の特に素晴らしいのが夜の描写。
「夜が体を舐めに来るから」と靴下や、腹巻を身に付けさせられる。
しまいには顔まで? 田舎の夜や闇は怖い。わかる。人をどこかに連れ去りそうな生きた闇。
田舎があるって素晴らしい。


2.情報

著者:きむらよしお
出版年月日:2011/6/5
出版社:福音館書店
ページ数:32ページ
おすすめ対象年齢:3~4歳から