月のしかえし
「月・お月見」特集。
音楽、特にバイオリン好きな大人やお子さんへ。いや、音楽好きじゃなくてもとっても楽しめる素晴らしいファンタジーです。
「音楽を愛する方々へ。西洋の伝承を知ることができる、児童書にしておくにはもったいない名作。」
大作の小説を読んだかのような読後感でした。なんという壮大な物語。
児童書にしておくにはもったいない。ジェーン・エイキンの巧みな語り口と、指輪物語のイラストが有名なアラン・リーの緻密な絵。素晴らしい作品です。
ヘンリー八世の時代のイギリス。
7番目の息子、セッピ―が7歳の時に「国で一番のバイオリン弾きになりたい」と願をかけます。
毎晩、靴を片方ずつ、月にめがけて7日間投げるのです。
その後セッピ―と妹にふりかかる不思議な展開の数々。最後まで興奮して一気に読んでしまいます。
全体を通じて、西洋の色々な伝承を組み合わせたものが出てきます。
「靴を投げる」という風習、完全数である7という数の意味、月の持つ力。
日本にも独自の伝承がありますが、世界の伝承を知るというのもその国の宗教や文化を知るうえでとても大切なことだと思います。
そして「音楽の持つ力」。これは世界共通のことでしょう。
音楽を愛する人は特にこの本を愛しく思えるでしょう。
素晴らしい絵の数々は、それだけで飾っておきたいほど、美しく、どこか闇があり、迫力満点です。