月おとこ (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
「月・お月見」特集。
やなせたかしさんが影響された本。読み応えたっぷり。
「日本の作家たちに影響を与えた絵本。月おとこが人間の業をあぶりだす。」
ついつい入り込んでしまう物語も素晴らしいし、ダイナミックな絵も魅力的だし、バランスの良い傑作です。
多くの絵本作家にも影響を与えているようです。
やなせたかしさんは「ムーンマンを見たときはショックをうけました。こんな絵本を描きたいと思ったのに「アンパンマン」になった」と過去に言っています。アンパンマンも十分素晴らしい絵本ですけどね。
月おとこが現れることで、人間たちの浅ましさを露呈させていきます。
強欲、見栄っ張り、騒ぎが好き、異質を排除したい…そんな人間たちの姿は、見ていて苦しくもあり、自分と重なるところもあり。なんとも複雑な気持ちになります。そのもぞもぞした気持ちこそこの本の描きたいところなのかなと思ったり。
月に戻った月おとこは、どんな思いで地球を眺めているのでしょうね。
懲りない奴らだなと笑っているかもしれないし、もしかしたら別に何も知ったこっちゃない、くらいの気持ちかもしれません。妄想は止まりません。
2.情報
著者:トミー・ウンゲラー (著), たむら りゅういち (翻訳), あそう くみ (翻訳)
出版年月日:1978/7
出版社:評論社
ページ数:40ページ
おすすめ対象年齢:5~6歳から