絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★436「おばけむら」~現代社会に例えれば、廃棄物かもしれない。原子力発電所かもしれない。アメリカの基地かもしれない。

おばけむら

おばけ特集。
でも怖いのはおばけではなく、人間だよ、という深いお話です。

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「おばけむら」表紙


現代社会に例えれば、廃棄物かもしれない。原子力発電所かもしれない。アメリカの基地かもしれない。」

おばけが怖いのではないのです。人間の欲が一番恐ろしいことを招くというお話。
お金に目がくらんで、厄介なものを受け入れる。どんどん受け入れる。
最初は「お互い様」と優しい気持ちからだったが、次第に村の人たちは豪華な生活がないのは考えられなくなってくる。

おばけを引き取ってほしいと持ってくる方にも、浅ましさや人間の業を感じる。
これは現代社会で言えば、廃棄物かもしれない。原子力発電所かもしれない。アメリカの基地かもしれない。

そして一旦引き取ってしまった方は、もう二度と過去の平和でささやかな幸せは戻ってこない。破壊は終わらない。
非常に切ない。考えさせられる。
子どもに読ませるのはもちろんいいが、むしろ大人のほうが色々刺さるはず。ずっしりと後に残る。


2.情報

著者:南部 和也 (著), 田島 征三 (イラスト)
出版年月日:2004/5/1
出版社:教育画劇
ページ数:34ページ
おすすめ対象年齢:4~5歳から