絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★375「青いヤドカリ」~静かで深い作品。海と一体になり、自分自身と対峙する少年の成長を見守る。大人向け。

青いヤドカリ

夏特集。
どちらかというと大人向けのしっとりした深い作品。
もちろん子どもに読んでもいいですが、この話の意味を理解してしみじみできるのはやっぱり大人かな…。

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「青いヤドカリ」表紙


「静かで深い作品。海と一体になり、自分自身と対峙する少年の成長を見守る。大人向け。」

一度目は良さがわかりませんでした。
二度、三度と読むうちに、どんどんこの世界の深さに気づき、自分も潜り込んでいきました。

静かで深い作品。映画の「レッドタートル」を見た時のような感覚になりました。
絵は極力シンプルに、抽象化されています。
余計な情報が入ってきません。
この世界に感覚を研ぎ澄ませて読んで(見て)いると、容易に映画を観ているような錯覚に陥ります。
無音の海の中の描写が素晴らしいです。
そこでは自分自身との対峙しかない。海はまるで宇宙のようです。

海と一体になった(なろうとしている)少年のお話。案内人はタコとヤドカリ。
こうしてこの少年は大人になっていくのか…。
海を見つめる遠い目、だけど力強い目に、意志を感じます。

大人の方が感じるものは多いと思います。


2.情報

著者:村上 康成
出版年月日:2001/6/1
出版社:徳間書店
ページ数:40ページ
おすすめ対象年齢:5~6歳から