絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★310「てがみをください」~人の心のすれ違い、どういもならない失敗や悲しみも、成長に必要なものなのかな

てがみをください (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)

生き物特集。
かえると少年の切ないお話。
心のすれ違いをどう乗り越えるのか。どうすればよかったのか。考えさせられます。

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「てがみをください」表紙


「人の心のすれ違い、どういもならない失敗や悲しみも、成長に必要なものなのかな」

うわー!切ない!
何という切ない余韻を残す絵本なんでしょう。この切なさは子ども向け絵本には珍しいタイプ。
かえるさんに戻ってきてもらうか、かえるさんの住所を知ることができるか、なんとかなってほしいと祈ってしまうけれど、
でもどうにもならない理不尽さ、人と人の心のすれ違い、悲しみというのも、受け入れていかなければならないものだよな……とも思います。
かえるさんがどんな気持ちであったのか、
この後の少年の気持ちはどういうものなのか、
想像している間はこの物語は終わることはありません。
どうかたくさん考えてほしいです。

村上勉さんの描くイラストが、味わい深くてまた素晴らしいです。何度も読みたくなるのはこの絵のおかげだと思います。
ポストの中の部屋、イチジクの葉っぱ、どの描写も素晴らしい。


2.情報

著者:山下 明生 (著), 村上 勉 (イラスト)
出版年月日:1976/12/1
出版社:文研出版
ページ数:24ページ
おすすめ対象年齢:3~4歳から