絵本と愛と子どもらと

目指せ3000冊の絵本レビュー。おすすめの絵本を、季節や行事や年齢ごとに紹介します。時々子育てコラム。私のおススメはタイトルに★をつけています。

★95「たんぽぽ」~生と繁殖への執念を、何も物言わぬたんぽぽがその姿で教えてくれる。母のような強さ

たんぽぽ (絵本のおくりもの)

この本、教科書か何かにのっていた気がするんですよね…。
小学校の教室の風景とともに思い出すんです。
そして大人になった今読むと、ものすごく感動する。
タンポポを同じ「母親」として見てしまう。うるうる

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「たんぽぽ」表紙


「生と繁殖への執念を、何も物言わぬたんぽぽがその姿で教えてくれる。母のような強さ」

生と繁殖への執念を、何も物言わぬたんぽぽがその姿で教えてくれる。母のような強さだ。
春には安心して背を伸ばし、大きな花を得意そうに咲かせる。
周りの草木の状況に合わせて、たんぽぽは自分の形状も変える。背を高くしたり、葉を地面に広げたり。
朝と夕方と雨の日でも違う姿を見せる。
生きる知恵をこんな小さな植物は身に付けている。

そして圧巻なのはいよいよ綿毛に乗せて種子を飛ばす瞬間だ。
その日まで大切に守り、はぐくんだ種子=わが子たち。
それを飛ばすタイミングを、絶対に失敗してはならぬと辺りの空気を感じ取り見計らう。

見開きで飛んでいく綿毛の姿は、まるでウミガメの子どもたちが一斉に海に向かう姿や、鮭の命がけの産卵を見ているようだ。
綿毛を見送ったたんぽぽの茎が静かに倒れて枯れる姿も、産卵を終えて死んでいく鮭の母親のよう。
やりきった喜びと、そして儚さと。
何もしゃべらないのにたんぽぽが全て語ってくる。
感動した。

この本、どこかで見たことがあるんだよなあ…小学校の教科書…? なんだっただろう。


2.情報

著者:甲斐 信枝
出版年月日:1984/2/1
出版社:金の星社
ページ数:38ページ
おすすめ対象年齢:2~3歳から