たんぽぽ (絵本のおくりもの)
この本、教科書か何かにのっていた気がするんですよね…。
小学校の教室の風景とともに思い出すんです。
そして大人になった今読むと、ものすごく感動する。
タンポポを同じ「母親」として見てしまう。うるうる
「生と繁殖への執念を、何も物言わぬたんぽぽがその姿で教えてくれる。母のような強さ」
生と繁殖への執念を、何も物言わぬたんぽぽがその姿で教えてくれる。母のような強さだ。
春には安心して背を伸ばし、大きな花を得意そうに咲かせる。
周りの草木の状況に合わせて、たんぽぽは自分の形状も変える。背を高くしたり、葉を地面に広げたり。
朝と夕方と雨の日でも違う姿を見せる。
生きる知恵をこんな小さな植物は身に付けている。
そして圧巻なのはいよいよ綿毛に乗せて種子を飛ばす瞬間だ。
その日まで大切に守り、はぐくんだ種子=わが子たち。
それを飛ばすタイミングを、絶対に失敗してはならぬと辺りの空気を感じ取り見計らう。
見開きで飛んでいく綿毛の姿は、まるでウミガメの子どもたちが一斉に海に向かう姿や、鮭の命がけの産卵を見ているようだ。
綿毛を見送ったたんぽぽの茎が静かに倒れて枯れる姿も、産卵を終えて死んでいく鮭の母親のよう。
やりきった喜びと、そして儚さと。
何もしゃべらないのにたんぽぽが全て語ってくる。
感動した。
この本、どこかで見たことがあるんだよなあ…小学校の教科書…? なんだっただろう。